イシューからはじめよ:仕事の生産性を高めるための指南書
会社の先輩から紹介された「イシューからはじめよ」という本を紹介します。
こんな人におすすめ
- 自分は仕事ができないと悩んでいる人
- なんであの人はあんなに仕事が早いんだろうと思っている人
- コンサル会社に就職もしくは転職した人
- 仕事の生産性を高めたいと思っている人
この本のエッセンス
- この本でいう「イシュー」とは考えるべき/答えるべき問いである(逆に言うと、大抵の世の中にある問いは解かなくてもよい問いばかりである)
- 仕事ができる人とできないとの差は、イシューを見極められているかどうかの違いである
- 仕事ができない人は、解かなくてもよい問いに答え続け、忙しいわりに仕事を評価してもらえない
- 仕事ができる人は、解くべき問いを見極めることに労力を割いているため、生産性が高く、仕事を評価されやすい
- だから、まずはイシューを見極めることがから始めよう
良いイシューの条件とは?
良いイシューかどうかを見極めるためには以下3つ点を抑える必要がある。
- 本質的であること
その問いの答え次第で今後の方針や成果に大きな影響がある問いであるかどうか。答えが出たところで何も変わらないような問いは解くべき問いとは言えない。 - 答えが出る問いであること
そもそも現在の技術レベルや原理的に答えが出ないような問いも解くべき問いとは言えない。本書では、延々と答えの出ようがない問いに悩み続けることを「考えているフリ」と断じている。「悩んでいるんです」はイシューに向き合えていない証拠なので、仕事中は悩んでいるとは言わないようにしよう。 - 直観に反した深い仮説があること
問いに対する仮説まで考えられている必要がある。この仮説がそもそも凡庸の場合、解いても「だから何?(So what?)」となってしまう。一般的な感覚とは違うけど、もしかしたら実は・・・そんな深い仮説をセットで問いを立てる必要がある。
参考までに、深い仮説をセットするためのヒントとして、下記4つの視点があげられている。
- 共通性を見つける
- 関係性を見つける
- グルーピングしてみる
- ルールを発見する
イシューの見極め方
本書の最後では、作者の話を聞いた人のコメントが作者自身によって載せられている。
これまで与えられた問題にどう対処するのかばかり考えていたが、まず本当の問題の見極めから入らなければダメだということがわかった
単なる問題はイシューではない。白黒つけなければならないことがイシューだと聞いてハッとした
これらのような前向きなコメントがある一方、次のようなコメントも寄せられている。
イシューが大切なのはわかったが、どうやってイシューかそうでないのかわかるのか、今一つ腑に落ちない
内容はその通りと思うが、腹に落ちた、真に理解した、という感覚になれない
私はこのようなコメントを作者自ら本に載せていることに共感を覚えた。
作者はこれらを受け、結局経験で体得するしかないと締めくくっている。野球もルールブックをいくら読んでもホームランが打てるわけではない。結局は実践の中で体得していくしかない。ただ、実践で学ぶ共通のてがかりとして、この本はとても有益だと思う。
バリューのある仕事
コンサルタントの仕事をしていると、「それってバリュー無いよね」と言われることが良くある。ただ、バリューとは何かについて明確な説明が自分の中でできていなかった。本書はバリューを下記のように整理してくれている。
バリュー = イシュー度 × 解の質
バリューがあるかどうかは、まず解くべき問いであって、その解答に説得力があるかと説明することができる。とりわけ本書では、解くべき問いかどうか、つまりイシューかどうかに力点を置いている。「それってバリュー無いよね」と言われたら、イシューは見極められているか、もう一度考えてみよう。
まとめ
仕事ができる人になるためには、手あたり次第与えられた課題を打ち返すのではなく、何が解くべきなのか、イシューの見極めからはじめる必要がある。具体的に私個人としては、何か取り組む前に「それってお客さん喜ぶの?お客さんの求めていることの答えになってる?」を自分自身に問うことを習慣づけようと思う。
この本では、イシューの見極めだけではなく、そこからのストーリーラインの組み立て、パワポを使った資料作り、メッセージングまで、コンサルワーク全体の基本的な流れについてもわかりやす解説されている。おすすめです。
書籍の概要